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役立つ論文集

血管外漏出に関する報告論文の掲載情報を提示しています。



ビンカアルカロイド系抗がん剤の血管外漏出に対する罨法の作用

【研究目的】

抗がん剤の血管外漏出は、0.5~6.5%の頻度で発生しているとされ、それらの中には重篤な後遺症を残すケースもある。抗がん剤漏出が発生した場合、一般的に冷罨法が行われているが、ビンカアルカロイド系抗がん剤に関しては、冷罨法を行うと重篤な潰瘍を形成するという報告もあり、罨法方法に関して統一した見解が得られていない。そこで本研究では、ビンカアルカロイド系抗がん剤であるビノレルビン酒石酸塩(ロゼウス<SUP>®</SUP>)による、漏出性皮膚傷害に対する罨法作用の検討を行うことにより、適切な看護技術を構築するための基礎的知見を得ることを目的とした。

【研究方法】

1)使用薬剤:ロゼウス<SUP>®</SUP>0.8㎎/mlを使用した。2)使用動物:生後10週

齢のCrj:Wistar系雄性ラットを実験に供した。実験群の構成は、冷罨法群3匹、温罨法群3匹、無処置群3匹の合計9匹を使用した。3)漏出方法:麻酔下でラットの背部をバリカンで剃毛し、剃毛部を摘み上げ、薬液を皮下組織に1匹当たり2ヶ所各0.5ml投与し、漏出病変を作製した。4)冷罨法群:漏出部位の皮膚表面温度を18~21℃に保ち、漏出直後から30分間冷罨法を行った。5)温罨法群:漏出部位の皮膚表面温度を40~42℃に保ち、漏出直後から30分間温罨法を行った。6)無処置群:漏出後罨法を施すことなく放置し観察を行った。7)検索方法:実験群すべての動物について、経日的に観察し、10日目に漏出部位の肉眼的観察と写真撮影を実施し、深麻酔下で皮膚組織の摘出を行った。摘出した皮膚組織については、皮下組織、筋組織の肉眼的観察を行った。8)倫理的配慮:本研究は岩手県立大学研究倫理審査委員会の承認を得た上で,動物福祉の視点から適正に実施した.

【結果・考察】

一般的に、ビンカアルカロイド系抗がん剤漏出時の処置として危惧されることが多い冷罨法であるが、本研究結果では、漏出翌日に6例中4例で発赤、2例で潰瘍が確認された。潰瘍を翌日に形成したのは冷罨法群のみであり、その潰瘍は漏出部全体を占め、広範囲に痂皮を形成した。また、発赤1例が、その後に軽度な潰瘍まで至った。一方、漏出後の処置として推奨される温罨法であるが、皮膚傷害は、翌日に全ての漏出部で発赤と腫脹が確認され、2日目にはいずれも潰瘍へと移行した。その後3例が重篤な潰瘍へと移行し、冷罨法と比べると、より強い皮膚傷害を呈した結果が得られた。罨法を行なわない無処置群においては、漏出翌日、漏出部6例全てに発赤と腫脹が確認され、いずれも全て重篤な潰瘍へと移行した。本研究において冷罨法は、6例中3例で潰瘍までには至らず、発赤・腫脹で留まっており、ロゼウス<SUP>®</SUP>漏出時の処置としては、冷罨法の効果が期待できる可能性が示唆された。冷罨法は初期の対応として適切なケアと考えられるが、抗がん剤が漏出した場合は、冷罨法を過信せずに継続的観察が重要であると考えられる。

薬剤の点滴漏れに対するリバノール湿布の効果に関する実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 三浦奈都子, 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)26巻3号 Page314(2003.06)

 

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点滴漏れに対するリバノール(アクリノール)湿布の効果に関する実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部看護学科), 三浦奈都子, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集23回 Page125(2003.12)

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薬剤の血管外漏出に対する罨法の効果についての基礎的研究

三浦奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集23回 Page323(2003.12)

輸液剤の血管外漏出による組織傷害とそれに対する冷湿布の有効性について

木皿未来(岩手県立大学 看護学部), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)27巻3号 Page184(2004.06)

セフェム系抗生物質製剤の血管外漏出に対する温罨法の効果に関する基礎的研究

三浦奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集24回 Page256(2004.12)

麻酔剤漏出時の罨法の効果に関する実証的研究

武田利明(岩手県立大学 看護学部看護学科), 石田陽子, 三浦奈都子:日本看護科学学会学術集会講演集24回 Page344(2004.12)

造影剤の血管外漏出に対する罨法の効果に関する実験的研究

小谷愛子(日本医科大学附属病院), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)28巻3号 Page286(2005.06)

薬剤の血管外漏出時のケアについて 基礎と臨床の連携研究の取り組み

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 石田陽子, 熊谷真澄, 小澤希美, 高橋利果:日本看護技術学会学術集会講演抄録集4回 Page35(2005.11)

抗がん剤漏出による皮膚傷害に対する罨法の作用について

石田陽子(岩手県立大学 看護学部看護学科), 小山奈都子, 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集4回 Page70(2005.11)

抗生物質製剤の血管外漏出に対する罨法の効果に関する基礎的研究 2剤の比較

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集4回 Page71(2005.11)

 

造影剤の血管外漏出時の罨法の効果に関する糖尿病ラットを用いた基礎的研究

小谷愛子(日本医科大学附属病院), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集4回 Page72(2005.11)

注射技術の安全性に関する基礎的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護), 三浦奈都子, 武田利明:形態・機能(1347-7145)2巻2号 Page61(2004.03)

抗生剤の血管外漏出に対する罨法の効果についての基礎的研究

三浦奈都子(岩手県立大学 看護), 石田陽子, 武田利明:形態・機能(1347-7145)2巻2号 Page61(2004.03)

抗がん剤漏出時の看護ケアに関する実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部看護学科), 小山奈都子, 武田利明:形態・機能(1347-7145)3巻2号 Page73(2005.03)

薬剤の血管外漏出に対する罨法の効果に関する糖尿病ラットを用いた実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)29巻3号 Page263(2006.07)

抗がん剤漏出性皮膚傷害に関する基礎的研究

及川正広(岩手県立大学 看護学研究科博士前期課程), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)29巻3号 Page263(2006.07)

薬剤の血管外漏出時のケア

武田利明(岩手県立大学 看護学部看護学科), 石田陽子, 三浦奈都子, 木皿未来, 小谷愛子:日本看護技術学会学術集会講演抄録集3回 Page52(2004.09)

アレビアチン加生食液の血管外漏出による影響と冷罨法の効果に関する実証的研究

小谷愛子(岩手県立大学 大学院看護学研究科修士課程), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集2回 Page29(2003.08)

輸液の血管外漏出が生体に与える影響について

木皿未来(岩手県立大学 大学院看護学研究科修士課程), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集2回 Page32(2003.08)

交流セッション 薬剤の血管外漏出時のケアについて 基礎と臨床の連携研究の取り組み

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 石田陽子, 熊谷真澄, 高橋利果, 小澤希美:日本看護技術学会誌(1349-5429)5巻1号 Page42-44(2006.05)

薬剤の血管外漏出時のケア 臨床実践の取り組み事例紹介と研究の現状

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 小山奈都子, 熊谷真澄, 小澤希美, 葛西英子, 荒井悦子:日本看護技術学会学術集会講演抄録集5回 Page22(2006.11)

集中治療室で塩酸ニカルジピンの血管外漏出を起こした3事例からケアを考える

松田寛子(岩手県立大学 大学院看護学研究科博士前期課程), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集5回 Page80(2006.11)

マイトマイシン漏出性皮膚傷害の特徴と罨法の効果に関する基礎的研究

及川正広(水沢学苑看護専門学校), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集5回 Page100(2006.11)

抗がん剤漏出性皮膚傷害に対する罨法作用の基礎的研究

及川正広(岩手県立大学 大学院看護学研究科), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)30巻3号 Page225(2007.06)

薬剤の血管外漏出時の罨法施行による薬剤の吸収への影響に関する基礎的研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 似鳥徹, 武田利明:形態・機能(1347-7145)6巻1号 Page58(2007.09)

薬剤の血管外漏出時のケアについて考える さらなる発展を目指した取り組みの紹介

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 石田陽子, 及川正広, 熊谷真澄, 小澤希美:日本看護技術学会誌(1349-5429)7巻1号 Page39-41(2008.03)

抗生物質製剤(セフォチアム塩酸塩)の血管外漏出に対する罨法の効果に関する基礎的研究

小山奈都子,石田陽子,武田利明 : 抗生物質製剤(セフォチアム塩酸塩)の血管外漏出に対する罨法の効果に関する基礎的研究,岩手県立大学看護学部紀要,10(1),1-7

Abstract
臨床現場で用いられることの多い抗生物質製剤(パンスポリン?)の血管外漏出に関する皮膚傷害と罨法の効果を明らかにすることを目的に実験動物を用いた基礎的研究を行った.パンスポリン?0.5mlをラットの左右内伏在静脈へ漏出させた後,温罨法(40±2℃)または冷罨法(20±2℃)を30分間施行した.罨法後8時間目と16時間目に肉眼的観察と組織学的検索を行った.その結果,肉眼的には罨法による差はみられなかった.組織学的検索において,パンスポリン?が血管外へ漏出した直後に温罨法(40℃±2℃)を行うことで,皮下組織の炎症性細胞の浸潤と浮腫が促進され,冷罨法(20℃±2℃)を行うことで,皮下組織の炎症性細胞の浸潤と浮腫,筋肉組織の壊死が軽減されることが明らかとなった.

抗がん剤漏出による皮膚傷害に関する実証的研究

及川正広,武田利明 : 抗がん剤漏出による皮膚傷害に関する実証的研究,日本看護研究学会雑誌,31(4)95-100.

Abstract
本研究では,抗がん剤漏出による皮膚傷害の質的変化について検索するため,実験動物(ラット)を用いた基礎的研究を実施した.使用した抗がん剤は,起壊死性抗がん剤である,マイトマイシンとエクザール?,炎症性抗がん剤に属するランダ?, 非壊死性抗がん剤に属するロイナーゼ?を選択し,肉眼的,血液学的,組織学的に検索した.その結果,マイトマイシンの皮膚傷害は,皮膚深層に傷害像が強く認められ,肉眼的に観察されにくい.さらには,傷害が持続し組織の再生も弱い.エクザール?の皮膚傷害は,表皮から皮筋組織にかけ広範囲に傷害が生じ,急速に潰瘍を形成し顕在化するが,時間の経過ともに再生像も確認できる.ランダ?とロイナーゼ?は,エクザール?やマイトマイシンに比べ皮膚傷害が弱いという知見が得られた.以上から,抗がん剤血管外漏出時には,看護師は組織内部の皮膚傷害についても把握し患者と関わる必要性が示唆された.

薬剤の血管外漏出時のケアについて考える さらなる発展を目指した取り組みの紹介

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 石田陽子, 及川正広, 熊谷真澄, 小澤希美:日本看護技術学会学術集会講演抄録集6回 Page34(2007.10)

抗がん剤の血管に対する影響に関する基礎的研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 及川正広, 熊谷真澄, 小澤希美, 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集6回 Page104(2007.10)

 

抗がん剤漏出による皮膚傷害部の特徴に関する基礎的研究 組織酸素モニタを用いてのアセスメントの試み

及川正広(岩手県立大学), 武田利明:日本看護技術学会学術集会講演抄録集6回 Page118(2007.10)

抗がん剤の血管外漏出による皮膚傷害に対する罨法の作用に関する基礎的研究

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 石田陽子, 小山奈都子:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)31巻3号 Page293(2008.07)

薬剤の血管外漏出時のケアについて考える

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 石田陽子, 及川正広, 熊谷真澄, 小澤希美:日本看護技術学会学術集会講演抄録集7回 Page20(2008.09)

抗がん剤漏出による皮膚傷害に関する基礎的研究 プロドラック製剤を使用しての検討

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 石田陽子, 小山奈都子:日本看護技術学会学術集会講演抄録集7回 Page102(2008.09)

抗がん剤の輸液漏れ時の温および冷罨法についての免疫細胞による検討

井上都之(岩手県立大学 看護学部), 武田利明:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)32巻3号 Page344(2009.07)

抗がん剤漏出時における皮膚傷害に対するステロイド局所作用の検討

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 小山奈都子:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)32巻3号 Page344(2009.07)

薬剤の血管外漏出時のケアを考える

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 及川正広, 石田陽子, 市川尚:日本看護技術学会学術集会講演抄録集8回 Page48(2009.09)

抗がん剤の血管に対する影響に関する基礎的研究

小山奈都子,石田陽子,及川正広,熊谷真澄,小澤希美,武田利明:抗がん剤の血管に対する影響に関する基礎的研究,岩手県立大学看護学部紀要,11(1),87-93.

Abstract
乳がん治療のひとつであるFEC療法に含まれるエピルビシン塩酸塩注射液(ファルモルビシンRTU&reg;注射液)は,副作用として静脈炎が挙げられている.これは,薬剤が投与された静脈が硬化するため,肘関節の屈曲が困難となるなど,患者にとっては耐え難い苦痛である.本研究では,その疼痛を緩和させるケアを検討するために,エピルビシン塩酸塩が血管に与える影響を明らかにすることを目的として基礎的研究を行ったので報告する. 薬液投与後,急性期の傷害を観察するために7時間群2匹,24時間群2匹の実験動物(ウサギ)用いた.また,薬液が血管に接する程度が傷害に与える影響を観察するために左耳介静脈をクリップし血流を停滞させ,右耳介静脈は対照群とした.薬液投与直後は,肉眼的観察により血管が拡張し,投与後24時間目まで継続していた.血管の拡張は,クリッピングした群に強くみられる傾向にあった.顕微鏡的観察により,血管内皮細胞への炎症性細胞の接着と血管壁の変性がみられた.

抗がん剤漏出による皮膚傷害の経過に関する基礎的研究 皮膚の変化を裏づける組織傷害の特徴について

武田利明(岩手県立大学 看護大学), 石田陽子, 小山奈都子, 及川正広:日本看護科学学会学術集会講演集28回 Page337(2008.11)

薬剤の血管外漏出時罨法による好中球への影響に関する基礎的研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 及川正広, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集28回 Page339(2008.11)

グルコン酸カルシウム注射液の血管外漏出時罨法の効果に関する基礎的研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 及川正広, 石田陽子, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集29回 Page311(2009.11)

抗がん剤の静脈内投与による血管および組織傷害に関する実証的研究

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 武田利明:日本看護科学学会学術集会講演集29回 Page312(2009.11)

抗がん剤の血管外漏出に伴う皮膚傷害に関する病理学的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護), 柴田千衣, 武田利明:日本看護科学会誌(0287-5330)21巻2号 Page74-80(2001.08)

Abstract
18週齢の兎耳介外側静脈にアドリアマイシン(I剤),ダウノマイシン(II剤),ビンクリスチン(III剤),ブレオマイシン(IV剤)の各薬液を注入し,血管穿破による血管外漏出モデルを作製した.薬液注入後24時間の肉眼所見は,生理食塩液を含め全ての薬剤で漏出部に赤色変化を認めた.組織所見は,IV剤では出血と軽度の細胞浸潤だけであったが,II剤やIII剤では強度の出血,炎症性細胞の浸潤,広範囲の浮腫が認められ,I剤では膠原線維の変性・壊死像も見られた.抗癌剤の血管外漏出による皮膚障害性は,薬剤の種類により質的な相違があり,客観的かつ正確にアセスメントできる手段や効果的な看護ケア方法の基礎的検討が必要である.

看護技術 薬剤の血管外漏出時のケア 問題点と今後の課題

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 花里陽子, 石田陽子, 三浦奈都子:看護技術(0449-752X)49巻3号 Page244-247(2003.03)

薬剤漏出に対する罨法の効果についての実験的研究

三浦奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:日本看護科学会誌(0287-5330)23巻3号 Page48-56(2003.09)

Abstract
薬剤漏出に対する罨法の有効性を明らかにするために,実験動物を用いた基礎的研究を実施した.起炎性薬剤として知られているジアゼパム注射液を使用し,ラットの背部皮膚に漏出後,罨法を30分間施行した.ラット皮膚の表面を,21±1℃に維持したものを冷罨法,41±1℃に維持したものを温罨法とした.肉眼的観察においては,罨法による作用は認められなかった.組織学的検索によって,冷罨法を行うことで皮下組織の浮腫や皮下組織内への炎症性細胞の浸潤が軽減した.温罨法を処置した部位では,皮筋内及び皮下組織内への炎症性細胞の浸潤を広範囲に認めた.よって,薬剤漏出時の処置として冷罨法は有効で,温罨法は漏出病巣を悪化させることを裏づけることが示唆された.

技術の科学的検証 薬剤の血管外漏出時のケア

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 三浦奈都子, 花里陽子:日本看護技術学会誌(1349-5429)2巻1号 Page58-60(2003.09)

薬剤の血管外漏出時のケアに関する実態調査

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 三浦奈都子, 武田利明:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)6巻 Page101-105(2004.03)

Abstract
薬剤の血管外漏出時の看護ケアがどのようになされているか,その方法を用いる理由は何かについて,研修会に参加した看護職を対象にして実態を把握するため質問紙調査を行い,207名から回答を得た.その結果,主として温罨法,冷罨法,リバノール湿布の3種類のケアが実施されていることが明らかになった.それぞれのケアを用いる理由,根拠は曖昧であり,用いる時期やその方法についても,看護師個人の判断で様々に行われている実態が明らかになった.適切な看護技術を提供するためには根拠とその効果を踏まえた科学的検証が必要であり,現在臨床現場で行われている血管外漏出時に行われる方法の科学的裏付けをとり,それを蓄積していく必要がある.

技術の科学的検証 薬剤の血管外漏出時のケア

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 三浦奈都子, 花里陽子:日本看護技術学会誌(1349-5429)2巻1号 Page58-60(2003.09)

看護学における実証的研究の取り組み 技術の根拠と効果の探究

武田利明(岩手県立大学):日本看護技術学会誌(1349-5429)3巻1号 Page5-9(2004.04)

薬剤漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の効果に関する実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 三浦奈都子, 武田利明:日本看護技術学会誌(1349-5429)3巻1号 Page58-65(2004.04)

Abstract
薬物漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の作用を明らかにするため,ラットによる基礎研究を行った.起壊死性抗がん剤ドキソルビシンと起炎症性薬剤ジアゼパム注射液を使用し,ラットの背部皮膚にこれら薬剤を漏出後,アクリノール湿布を4日間施行した.湿布貼用後,薬物漏出部の肉眼的観察および組織学的検索を行った結果,各薬剤を漏出したラット皮膚において,肉眼的に異常所見は認められなかったが,組織学的に皮下組織に重篤な浮腫や炎症性細胞浸潤が観察され,薬物漏出による組織傷害像を確認した.組織傷害の程度をアクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果,アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかった.

輸液剤の血管外漏出による組織傷害についての基礎的研究

木皿未来(岩手県立大学 看護学部), 武田利明:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)7巻 Page7-17(2005.03)

Abstract
輸液剤の血管外漏出に対する適切なケアを確立するため,輸液剤の血管外漏出による生体への影響を検索する目的で実験動物を用いた基礎研究を行った.その結果,輸液の血管外漏出時には,炎症や浮腫,筋細胞の壊死などの組織傷害が生じ,病変は48時間を経ても持続した.ソリタ-T3号と大塚糖液5%の血管外漏出時には,炎症と浮腫を主体とした病変がみられた.グリセオール注の血管外漏出時には,重篤な筋壊死が認められた.ソリタ-T3号と大塚糖液5%の組織傷害性は同程度であり,グリセオール注は組織傷害性が強かった.

輸液剤の血管外漏出について 1総合病院における実態調査

小坂未来(岩手県立大学 看護学部), 武田利明:日本看護技術学会誌(1349-5429)4巻2号 Page32-37(2005.11)

Abstract
輸液剤の血管外漏出の実態を明らかにすることを目的に,A病院の看護師を対象にアンケート調査を実施した.血管外漏出を,「静脈へ注入されるべき薬剤や溶液が周囲の組織へ投与されてしまうこと」とし,調査期間(27日間)中の血管外漏出の件数と内容,および対応を調査した結果,血管外漏出は54例発生しており,そのうち輸液剤単独での血管外漏出は22例あり,血管外漏出が起きる頻度が高い点滴製剤は電解質輸液製剤であることが分かった.輸液剤単独でも血管外漏出が起こると腫脹や発赤などの症状を呈しており,無処置または冷罨法による対応がなされ,冷罨法としては冷湿布の貼付が行われていた.

ビンカアルカロイド系抗がん剤漏出時の罨法の作用に関する実験的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 武田利明:日本看護技術学会誌(1349-5429)4巻2号 Page38-41(2005.11)

Abstract
ビンカアルカロイド系抗癌剤が血管外に漏出した際の対処方法として勧められている温罨法の作用について明らかにすることを目的に,ラットによる実験を行った.その結果,ビンカアルカロイド系抗癌剤の漏出に伴い発生した皮膚障害は,漏出直後ではなく,数日をおいて出現することが分かった.また,当実験では,ビンカアルカロイド系抗癌剤の漏出後,温罨法を施行したラットの皮膚に,潰瘍形成という重篤な障害を認めた.

薬液の血管外漏出時の罨法の作用に関する基礎的研究

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 武田利明:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)8巻 Page97-100(2006.03)

Abstract
薬液が血管外に漏出した状況を実験的に作製し,それに対する冷罨法あるいは温罨法の作用についての基礎的データを集積するため,実験動物(ラット)を用いた研究を行った.薬液漏出部皮膚摘出後,皮下組織側からの肉眼的観察において,冷罨法を施行したラット皮膚では,すべての漏出薬液について,温罨法群に比べ色素の拡がりが少なく,対照群に比べてもやや限局的な傾向にあった.温罨法群ラットの背部皮下組織では,すべての漏出薬液において,冷罨法群および対照群に比べ,色素が広範囲に拡がる所見が得られた.摘出したラット皮膚組織をサリチル酸メチルを用いて透徹後,実体顕微鏡にて観察し,温罨法群は冷罨法群に比べ,薬液漏出部において,多方向に数多く突起を伸ばしているような薬液の広がりを観察し,また血管の拡がりを確認できる所見が得られた.

ビンカアルカロイド系抗がん剤漏出時における罨法の有効性を示す実験的研究に関する文献調査 病態動物モデルで得られた結果の解釈と今後の課題

武田利明(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 小山奈都子:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)8巻 Page101-105(2006.03)

Abstract
ビンカアルカロイド系の抗がん剤については,血管外に漏出した場合のケアとして温罨法が推奨されているが,その根拠に関する詳細なデータについては不明であった.そこで,国内外の文献調査によって根拠を探すとともに,その根拠の内容と有用性についても考察した.看護学・医学雑誌における抗がん剤漏出時の罨法に関する記載内容の現状を把握するために,医学中央雑誌を用いて文献について検索し,23件の論文が得られた.ビンカアルカロイド系の抗がん剤漏出時の温罨法の根拠となるデータが得られなかった.さらに過去の医学中央雑誌(医中誌Web全年,1983~2005)で検索し55件の文献が得られたが,実証研究に関する論文は得られなかった.そこで,MEDLINEで文献検索を行い,ビンカアルカロイド系抗がん剤が血管外に漏出した場合の温罨法の有効性を示す研究論文を探し出すことが出来た.

ケアの根拠を確かめよう 最新研究レビューの要点 ビンカアルカロイド系抗がん剤漏出時は温罨法か?

武田利明(岩手県立大学 看護学部):ナーシング・トゥデイ(0912-2974)21巻10号 Page15(2006.09)

【経験いろいろ、研究いろいろ 温めるケア】 温めるケア、いろいろ 薬剤漏出による組織傷害の軽減(局部罨法)

武田利明(岩手県立大学 看護学科):ナーシング・トゥデイ(0912-2974)22巻2号 Page26(2007.02)

【ケアの根拠100】 がん看護 ビンカアルカロイド系抗がん剤漏出時は温罨法か?

武田利明(岩手県立大学 看護学部):ナーシング・トゥデイ(0912-2974)21巻12号 Page84(2006.10)

【輸液ライン管理必携 正しい理解と最新知識】 “点滴漏れ”とその対処

武田利明(岩手県立大学 看護学部):看護実践の科学(0385-4280)32巻4号 Page27-33(2007.04)

薬剤の血管外漏出時のケア 臨床実践の取り組み事例紹介と研究の現状

武田利明(岩手県立大学), 石田陽子, 小山奈都子, 熊谷真澄, 葛西英子, 荒井悦子:日本看護技術学会誌(1349-5429)6巻1号 Page33-35(2007.05)

形態機能学からみた看護技術 静脈注射を見直す!薬剤の血管外漏出の予防とケアのポイント

石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 武田利明:ナーシング(0389-8326)27巻11号 Page14-19(2007.10)

点滴漏れ時の罨法施行による薬剤の吸収への影響に関する基礎研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)9巻 Page87-91(2007.03)本文を表示

Abstract
薬剤の血管外漏出に対する温罨法は,漏出部位の末梢血管を拡張させ薬剤の吸収を促進すること,冷罨法は末梢血管を収縮させ薬剤の限局化を図ることが目的とされている.しかし,罨法が薬剤の静脈吸収へ与える影響について,根拠となるデータの記載は少ないのが現状である.よって本研究では,罨法が漏出薬剤の静脈吸収に与える影響について検討することを目的に,基礎的実験を行った. 背部皮膚と内側伏在静脈周囲に漏出させたセルシン®とアレビアチン®の血中濃度を,漏出1時間後と2時間後に測定した.その結果,両薬剤ともに対照群と罨法群の薬剤血中濃度に変化はなかった.罨法は,皮膚血流量を変化させるとされるが,薬剤血中濃度には関与していないことが示唆された.漏出した薬剤の静脈吸収量は,罨法によって左右されず同量の薬剤が皮下組織に存在しても,炎症反応の程度に差がみられることから,罨法は組織の代謝に働きかけている可能性が示唆された.

薬剤の血管外漏出時のケアについて考える

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 及川正広, 石田陽子, 熊谷真澄, 小澤希美:日本看護技術学会誌(1349-5429)8巻1号 Page36-38(2009.04)

抗がん剤漏出による皮膚傷害に関する基礎的研究

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 小山奈都子:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)11巻 Page109-113(2009.03)

ケアに役立つ話を読み解く 臨床にいかす実験研究 薬液血管外漏出時の最適ケアは温罨法か、冷罨法か、リバノール湿布か

武田利明(岩手県立大学 看護学部):看護学雑誌(0386-9830)73巻12号 Page24-30(2009.12)

抗がん剤漏出による皮膚傷害に対するステロイド局所注射の作用に関する基礎的研究

及川正広(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 小山奈都子:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)12巻 Page101-105(2010.03)

薬剤の血管外漏出時のケアを考える

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 武田利明, 及川正広, 石田陽子, 市川尚:日本看護技術学会誌(1349-5429)9巻1号 Page44-46(2010.04)

ドキソルビシン塩酸塩の血管外漏出に対するステロイド局所注射の効果に関する基礎的研究

小山奈都子(岩手県立大学 看護学部), 及川正広, 武田利明:日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌(1884-233X)14巻1号 Page93(2010.04)

抗がん剤を静脈内投与した後の皮膚の変化に関する実験的研究

欠畑大樹(岩手県立大学 看護学部), 及川正広, 武田利明:日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌(1884-233X)14巻1号 Page79(2010.04)



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