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看護研究ってどうやるの?

「エビデンスを探す」と「看護研究」の関係

このページは「看護研究を始めて行なう方」「看護研究になかなか馴染めない方」「看護研究を何から始めるか困っている方」などを対象としています。理解を深めたい方などもどうぞご覧ください。

エビデンスを探す・探るという行動は大きくいうと「看護研究」の中に含まれるものなのです。
エビデンスを探す・探るということは「過去の研究成果」もしくは誰かが今まで調査したことなどの「成果」を探すという行為に置き換えることができるのです。

難しく考えることはありません!
ここでは、臨床現場での疑問から具体的な例を提示してみなさんと一緒にエビデンスと成りえる看護論文を探し、どんなものが最善のエビデンスになるのか考えていきたいと思います。

問題を見つけよう!

エビデンスを探す・探る(研究する)ためにはリサーチクエスチョン(研究上の問い)を正しく決められなければなりません。

リサーチクエスチョンを正しく決める??
リサーチクエスチョンと言われると、急に高尚のようなものに聞こえてしますかもしれませんが、日常の業務の中、看護ケアを施している中で「なぜだろう?」と思ったことなどでも大丈夫です!
リサーチクエスチョンを正しく決めることができなければ、文献検索の際に結果に結びつきづらくなります。

この際、難しいことは抜きにしましょう!
大事なことは自分が知りたいことやわからないことを整理することです。

以下に好ましくないリサーチクエスチョンの例をまとめます。

表現が少し堅いように感じるかもしれませんが、そのままの意味です。

では、好ましいリサーチクエスチョンとはどういったものでしょうか?
それはPICOによって正しく決めることができます。

英語の頭文字の略でP:Patient(どんな患者さんに)

I:Intervention(どのように介入すると)

C:Comparison(何と比較して)

O:Outcome(どうなるのか)のことです。

ここでリサーチクエスチョンの例を提示します。
<看護課程の学生が実習先で素朴な疑問を持ちました>
「糖分や塩分制限のある患者さんの苦痛を何らかの環境の変化で少なくできないだろうか…」

ただやみ雲にPICOに当てはめたわけではなく、落とし込むまでの過程では、自分が知らないことやわからないことを整理して決定しています。

これらを整理した結果。
①、②:先行研究は2件のみであり、環境の変化による味覚の違いについて十分解明されているとは言えないため、リサーチクエスチョンになりえる。

③:苦痛に感じ訴える患者さんがいたという事実、患者さんの苦痛の軽減は看護師の責務であるため、糖分・塩分制限のある患者さんの苦痛が食器の色という少しの環境変化によって緩和されるならば有効であり、研究の意義があると言える。

④:ランチョンマットでなく食器の色でも、青・緑で糖分が強く、赤・緑で塩分が強く感じられるのではないか。

以上のことを整理したらPICOに当てはめて考えてみましょう。
P:味覚のない健康な成人
I:赤や青や緑の食器で食事した場合
C:通常の白い食器と比較して
O:糖分、塩分の感じ方(域値)が変わるのか

ここまで理解して、ついてこれてますか?
もし、まだ不安でしたら以下のスライドをダウンロードして確認してみてください。



看護研究について

(スライドをダウンロード)



ここまできたら、いよいよ文献検索になってきます!
文献には一次文献と二次文献があります。
詳しい文献の種類や探し方などは、本サイト内の 「エビデンスを探すには?」で丁寧に解説しています。
「エビデンスを探すには?」

次はエビデンスと成りえる文献を実際に探していきましょう。

エビデンスを探す練習をしてみよう!

ここでは実際にエビデンスと成る文献を具体的な例とともに探していきましょう。

このエビデンスベース看護情報センターは岩手県立大学看護学部の研究成果の情報を開示しています。
まずは、このサイト内で練習していきましょう。

<ある看護師が就業先の病院である疑問を持ちました>
入院中の患者さん(成人男性)に抗生物質製剤(パンスポリン)の点滴静脈内注射を行っている中で「点滴漏れが発生した場合、罨法を実施するが、温罨法と冷罨法ではどちらを実施するべきなのか…」

ここで自分の知りたい事わからない事を整理してみました。
①皆が知っていること
②皆が知らないこと
③皆が知りたいこと
④研究を通じて得たいこと

①、②:温罨法と冷罨法があり、どちらの罨法が効果的となるのか根拠となるデータが少ないためリサーチクエスチョンと成りえる。

③:点滴漏れが発生してしまった場合、患者さんに不快を与えてしまう。温罨法と冷罨法ではどちらが効果的なのか研究としての意義がある。

④:薬剤の種類によって多少効果が変わるかもしれないが、冷罨法の方が良いケアなのではないか。

これらのことを整理した上で、PICOに当てはめてみましょう!

 

 

どうでしたか?うまくPICOに落とし込むことができましたか?
PICOは以下のように設定するとします。(多少のずれはあるかもしれません)
P:入院中の成人男性
I:点滴漏れが発生した場合
C:温罨法と比較して
O:冷罨法の方が有効なのではないか

ここまできたらいよいよ文献検索です。
いきなり外部の看護データベースにアクセスして、探すのは少し不安かもしれませんね。
今回は、このサイト内で有効だと思う文献を探してみましょう!

 

 

 

ヒント1:薬剤の血管外漏出の文献はホームにある「本学提供のエビデンス」の中にあります。
ヒント2:今回有効だと考えられる文献は2つです。がんばりましょう。
ヒント3:もしどうしても探せない場合は、以下の「パンスポリン」のストーリーベース教材で学んでみましょう!よく確認してするとリンクがあります。
pantop

 

 

文献の探すことができましたか?
いくつか迷うような内容があったかもしれませんね。

今回有効だと考えられる文献は以下の2つです。
・点滴漏れ時の罨法施行による薬剤の吸収への影響に関する基礎研究
・抗生物質製剤(セフォチアム塩酸塩)の血管外漏出に対する罨法の効果に関する基礎的研究

さて次は、得られた情報をどのように活用したら良いでしょうか?
文献の整理
入手後すぐに、書誌的事項(表題、著者名、巻、号、ページ、発行年)が文献に記載されているかを確認し、不足があれば調べて記載しておきます。書籍は巻末等にある著者名、書名、発行社、発行年が書いてある箇所を複写しておくと良いでしょう。

リストカードを作成
文献番号を記載し、文献リストを作成して整理します。文献リスト(カード)には、目的、方法、結果、結論などを要約し記載しておくと良いでしょう。

<結論>
ある薬剤は温罨法が有効とのデータも出しましたが、評価のタイミングの違いと考えており、現状では、薬剤の種類に関係なく基本的に冷罨法が有効です。(※私どもの考えです)

ここまで一緒に練習してみてどうでしたか?
理解は深まりましたか?

続いては、なぜ看護研究が必要なのかについて「看護研究の役割」で解説していきます。

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