小山奈都子,石田陽子,武田利明 : 抗生物質製剤(セフォチアム塩酸塩)の血管外漏出に対する罨法の効果に関する基礎的研究,岩手県立大学看護学部紀要,10(1),1-7

Abstract
臨床現場で用いられることの多い抗生物質製剤(パンスポリン?)の血管外漏出に関する皮膚傷害と罨法の効果を明らかにすることを目的に実験動物を用いた基礎的研究を行った.パンスポリン?0.5mlをラットの左右内伏在静脈へ漏出させた後,温罨法(40±2℃)または冷罨法(20±2℃)を30分間施行した.罨法後8時間目と16時間目に肉眼的観察と組織学的検索を行った.その結果,肉眼的には罨法による差はみられなかった.組織学的検索において,パンスポリン?が血管外へ漏出した直後に温罨法(40℃±2℃)を行うことで,皮下組織の炎症性細胞の浸潤と浮腫が促進され,冷罨法(20℃±2℃)を行うことで,皮下組織の炎症性細胞の浸潤と浮腫,筋肉組織の壊死が軽減されることが明らかとなった.