石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 小山奈都子, 武田利明:岩手県立大学看護学部紀要(1344-9745)8巻 Page97-100(2006.03)

Abstract
薬液が血管外に漏出した状況を実験的に作製し,それに対する冷罨法あるいは温罨法の作用についての基礎的データを集積するため,実験動物(ラット)を用いた研究を行った.薬液漏出部皮膚摘出後,皮下組織側からの肉眼的観察において,冷罨法を施行したラット皮膚では,すべての漏出薬液について,温罨法群に比べ色素の拡がりが少なく,対照群に比べてもやや限局的な傾向にあった.温罨法群ラットの背部皮下組織では,すべての漏出薬液において,冷罨法群および対照群に比べ,色素が広範囲に拡がる所見が得られた.摘出したラット皮膚組織をサリチル酸メチルを用いて透徹後,実体顕微鏡にて観察し,温罨法群は冷罨法群に比べ,薬液漏出部において,多方向に数多く突起を伸ばしているような薬液の広がりを観察し,また血管の拡がりを確認できる所見が得られた.