薬剤の血管外漏出時にリバノール湿布を使用するようになった成り立ちについて、関連論文をご紹介します。

■1977年 ヨ-ド造影剤により著明な皮膚障害の発生した1例-経静脈性尿路造影剤における新しい副作用-:久保田 進 [他] 臨床泌尿器科 31(8)  pp.p733?735 1977/08

血管外漏出について,筆者の所有する日本の論文でもっとも古いものです.
漏出後は冷却とありますが,リバノール湿布の記載はありません.

■1984年 静注時の血管外漏出:大浦武彦 薬事新報  1292  pp.25-28 1984

抗がん剤の漏出について解毒剤の使用が述べられていますが,リバノール湿布についての記載はありません.

■1986年 抗がん剤の血管外漏出による障害と予防:石原和之 最新医  41  pp.2636-2641 1986

この年になり,初めてリバノール湿布が記載されました.
ただし,ステロイド剤の局所注射との併用です.

■1986年 抗癌剤による難治性潰瘍:桑名隆一郎,岩瀬悦子,松本真里,大谷晶子,浦田喜子,安積輝夫 皮膚臨床 28(5) 511~514 1986

発表は,1986年ですが事例は1984年のものです.
抗がん剤漏出時にリバノール湿布を貼付と記載があります.

【まとめ】
以上のことから,現場では,石原論文(1986)以前もリバノール湿布が行われていたようです.

(岩手県立大学看護学部 基礎看護学講座 助教 小山奈都子)

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