点滴静脈内注射を含む静脈注射は、薬剤の投与経路として最も薬効の発現が迅速で、微量薬剤の投与にも適しているため臨床現場では日常的に用いられており、看護師が実施することが多い技術のひとつである。

平成14年以前の静脈注射は、厚生省医務局長通知(昭和26年9月15日付け医収第517号)により、薬剤の血管注入により、身体に及ぼす影響が甚大であること、技術的に困難であるとの理由により、医師又は歯科医師が自ら行うべき業務であって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条に規定する看護師の業務の範囲を超えるものであるとの行政解釈が示されてきた。

しかし、平成13年に実施された看護師等による静脈注射の実態についての厚生労働科学研究の結果では、94%の病院の医師が看護師等に静脈注射を指示している、90%の病院の看護師等が日常業務として静脈注射を実施している、60%の訪問看護ステーションで静脈注射を実施している、ということが明らかになった。

また、新たな看護のあり方に関する検討会は、平成14年9月6日「静脈注射は看護師の業務の範囲を超えるものとの行政解釈が示されて以来50年以上が経過し、その間の看護教育水準の向上や、医療用器材の進歩、医療現場における実態との乖離等の状況も踏まえれば、医師の指示に基づく看護師等による静脈注射の実施は、診療の補助行為の範疇として取り扱われるべきであると考えられる。」との見解を示した。

これを踏まえ、平成14年9月30日付け厚生労働省医政局長通知により「看護師等が行う静脈注射は診療の補助行為の範疇として取り扱う」という新たな行政解釈の変更がなされた。これにより、以前にも増して看護師が実施する静脈注射は増加し、看護師のより確かな技術と知識が求められている。また、看護師業務の範疇となっても、薬剤の血管内投与による身体への影響が大きいことに変わりはなく、医療安全の確保は何よりも優先されるべきものであり、解釈変更で患者の安全性が損なわれることのないようにすべきことは言うまでもない。