石田陽子(岩手県立大学 看護学部), 三浦奈都子, 武田利明:日本看護技術学会誌(1349-5429)3巻1号 Page58-65(2004.04)

Abstract
薬物漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の作用を明らかにするため,ラットによる基礎研究を行った.起壊死性抗がん剤ドキソルビシンと起炎症性薬剤ジアゼパム注射液を使用し,ラットの背部皮膚にこれら薬剤を漏出後,アクリノール湿布を4日間施行した.湿布貼用後,薬物漏出部の肉眼的観察および組織学的検索を行った結果,各薬剤を漏出したラット皮膚において,肉眼的に異常所見は認められなかったが,組織学的に皮下組織に重篤な浮腫や炎症性細胞浸潤が観察され,薬物漏出による組織傷害像を確認した.組織傷害の程度をアクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果,アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかった.