石田陽子(岩手県立大学 看護), 柴田千衣, 武田利明:日本看護科学会誌(0287-5330)21巻2号 Page74-80(2001.08)

Abstract
18週齢の兎耳介外側静脈にアドリアマイシン(I剤),ダウノマイシン(II剤),ビンクリスチン(III剤),ブレオマイシン(IV剤)の各薬液を注入し,血管穿破による血管外漏出モデルを作製した.薬液注入後24時間の肉眼所見は,生理食塩液を含め全ての薬剤で漏出部に赤色変化を認めた.組織所見は,IV剤では出血と軽度の細胞浸潤だけであったが,II剤やIII剤では強度の出血,炎症性細胞の浸潤,広範囲の浮腫が認められ,I剤では膠原線維の変性・壊死像も見られた.抗癌剤の血管外漏出による皮膚障害性は,薬剤の種類により質的な相違があり,客観的かつ正確にアセスメントできる手段や効果的な看護ケア方法の基礎的検討が必要である.