三浦奈都子(岩手県立大学 看護学部), 石田陽子, 武田利明:日本看護科学会誌(0287-5330)23巻3号 Page48-56(2003.09)
Abstract
薬剤漏出に対する罨法の有効性を明らかにするために,実験動物を用いた基礎的研究を実施した.起炎性薬剤として知られているジアゼパム注射液を使用し,ラットの背部皮膚に漏出後,罨法を30分間施行した.ラット皮膚の表面を,21±1℃に維持したものを冷罨法,41±1℃に維持したものを温罨法とした.肉眼的観察においては,罨法による作用は認められなかった.組織学的検索によって,冷罨法を行うことで皮下組織の浮腫や皮下組織内への炎症性細胞の浸潤が軽減した.温罨法を処置した部位では,皮筋内及び皮下組織内への炎症性細胞の浸潤を広範囲に認めた.よって,薬剤漏出時の処置として冷罨法は有効で,温罨法は漏出病巣を悪化させることを裏づけることが示唆された.